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>Baldwinのグランドピアノは、リムから数ミリ離れた所から響棒が始まります。
これも考え方でしょうね。まずどうやってクラウンができるか、です。
私が調べた範囲(国産のヤマハ、カワイ)ですが、まずスプルースを過乾燥に
(含水率8%以下)にもっていきます。一方響棒は10%以上でもっていく。
平衡含水率は10%を想定する。
そうしておいて、平らな響板を中央がへこんだ型にいれて、響板をセットして、
フルコンは棒で抑えてにかわでゆっくり、量産品は釜のようなプレス型に入れて
高周波で接着します。
すると、釜プレスで出来たクラウンの上に、響板の含水率が上がって伸びて反ることで、
さらに安定したクラウンができる。
音響的には、はぎあわせたスプルースに響き板を直角に響棒を貼った時点でほぼ
等方性になっている。この段階では、響棒がインナーリムに届いていようが
とどいていまいが、クラウン自体は影響うけないが、それからの経年変化が
問題になる。
じゃあ、なぜクラウンがなくなるか。ひとつは、響板の樹脂や水分が飛んで縮んで
クラウンが減る。ひとつは響き板の裏側が湿気てのびることでクラウンが消える、
あるいは、ケースが変形して膨らんで響板を拘束できずに響板が延びてしまって
クラウンが消える。
最初の響板自体が縮むことには、細胞壁が壊れて樹脂が失われにくいようにキルン
ドライでなく自然乾燥にする、ニスに樹脂分の多いものを使って樹脂分が失われない
ようにする、ニスで水分の蒸発を抑えるなどなどですね。
響棒の伸びや吸湿には、響板の幅を広くする、響棒の両はじをインナーケースで強く
拘束する、などでしょう。
ケースの変形には、支柱を強化する、鉄製の棒をターンバックルで緊張させる、など
です。
したがって、響棒がインナーケースに届いていないと、音響的には振動しやすい
かもしれないが、響棒を圧縮する力はへってクラウン保持には不利である。しかし
もともとクラウンを作るのは響板と響棒の関係(響棒を貼るだんかいで変形させて
おく+響板が吸湿して反る)であって、それが強固に確保されていれば、
響棒がインナーケースに届いてなくてもクラウンはある程度確保される。
響棒を周辺部で薄くする、響板の周辺の厚みをへらす(テーパーリング)のは
重に低音の響きを良くする働きがあるが、高音については効果があまり無いと言
われています。
ボールドウィンにはボールドウィンの考え方があるでしょうし、ボールドウインが
まだメーカーとして有力だったころは、まだ良い木材が多かったのかもしれませんが、
少なくとも現在販売されているピアノのすべてが、いかにクラウンを長く保持するか
のノウハウを重視しており、国産メーカーはいまだに支柱の強化をすすめていますので、
個人的にはボールドウインの方法にメリットがあるとは思えませんね。
S&Sも当初グランドでも円形響板を使うとか、金具で響板を拘束する、さらに
テーパーリングを徹底するなど100年前にいろいろトライした作品が残って
いますが、1920年代からはほとんど響板の加工を変えていません。おそらく、
現在のやりかたが一番クラウンが良く保持されているからでしょう。
同時に完成した、放射状支柱+コレクター+金属フレームの結合によって、
ケースの立て方向の支柱に金属フレームが絶えず支柱を引き伸ばす方向に
力が加わることでケースの横幅方向への変形をおさえ、過剰なテーパ
リングをせずに、フレームの低音を支柱を介して全体に使えることで
響きをかせぐノウハウが確率したからだと思われます。世界中のピアノは
基本的にS&Sの模倣の方向(ベヒシュタインでさえ)ですから、響
板がインナーリムに届かないピアノが今後作られるとしたら、それは
響板が完璧なクラウンをもつ合板もしくはカーボンファイアーコンポジット
材になったときだと思います。
ところですでにカーボンコンポジット響板を使ったピアノがありますが、なぜか
響棒があるのか疑問です。本来いらないはずなのでクラウンを作るためなの
でそしょうか。しかし響棒を貼り付けると音響的に等方性がなくなるはずなので。
ところで、アップライトの場合、ピアノの裏にホコリがたまりやすいですね。
これを放置しておくと響板の裏が表(ピアノの内部)より吸湿してクラウン
がへたります。裏も掃除したほうがいいうようです。
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